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「エンジン止まったら致命傷」「海で間違ったら人が死ぬ」事故原因・検査体制は?命を守る"安全運航"とは (22/06/14 20:20)

海底から船が引き揚げられ事故原因の捜査が本格化しています。なぜ事故は起きたのか、二度同じような事故を起こさないためにいま何が必要なのか、改めて考えます。

 沈没原因の調査が続く観光船「KAZU1」。

 引き上げられた際、船首には板でふさがれたような部分が見えました。これは"ハッチ"と呼ばれる出入口でいかりやロープなどを収納する船底の倉庫へとつながっています。

 船の安全管理に詳しい専門家は…

 神戸大学 海洋政策科学部 若林 伸和 教授:「ロックをしていなかったら揺れて風があって水が入ってきた時に(ハッチが)開いてしまう可能性や、ハッチから浸水する可能性がある。波をかぶるたびに水が増えていく。どんどん前が下がっていく状態で、さらに水がたまっていく」

 ハッチのある船首が浸水すると船にどのような影響があるのでしょうか。

 国によりますと、「KAZU1」の船底は3つの隔壁という壁で仕切られていて、この隔壁に穴があけられていたことがわかっています。

 2021年、機関室前後の穴は出火と延焼防止の観点からふさぐように指導し、事故直前の2022年4月に行った検査では穴がふさがっていることを確認していたといいます。

 しかし、船首下の1枚は機関室と離れており、延焼防止と無関係のため確認をしていませんでした。

 遊漁船の元船長:「船というのはこの部分にハッチがある。このふたが取れたら水が入る。どぶどぶと…」

 斜里町ウトロで長く遊漁船の船長していた男性は、船首の浸水でエンジンが停止したと見ています。

 遊漁船の元船長:「水がどんどん溜まってくる。エンジンはこの下。水に浸かる。止まる。エンジン止まったら操作できない。エンジンとまったら"致命傷"」

 事故発生直後、「KAZU1」から船首が浸水し「エンジン使えない」と通報が入っていることから沈没につながった原因の一つである可能性もあります。

 しかし、「KAZU1」のように、航行区域が限定されている小型船舶の場合、法律上は"完全密閉"を求められておらず、そもそも隔壁などを検査で確認することにはなっていないのが現状です。

 一方、船の仕事に携わってきた関係者たちは"意識の改革"が必要だと訴えます。

 遊漁船の元船長:「法律になくてもお客さんを乗せる船、命を守る船では(安全管理は)当たり前のこと。誰が悪いということではなく、みんなで知恵を出し合って人命に関わることが起きないように守るのが大事。間違いは絶対ダメ。海で間違ったら人が死ぬ」

 痛ましい事故が2度と起きないように…。事業者の安全意識の向上と、国による徹底した安全対策の強化が今こそ求められています。

 国土交通省の主な対策案は以下の通り

 ■抜き打ち検査など監査件数を増加
 ■試験や講習制度の創設
 ■資格の更新制度を創設(2年ごと)
 ■事業許可の更新制度を創設(5年ごと)

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